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TW2シルバーレインが為ブログ。 東西南北螺子のこと。


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19回目の誕生日が来た。
燈辻はクリーニングから返ってきたばかりの黒いスーツに袖を通し、
ネクタイに人差し指をかけ歪みを直す。
その表情は硬く、緊張がありありと浮かんでいた。
どうしてこのような表情なのか、それには彼女が実家へ帰ってきていることにある。

毎年、自分の誕生日は適当に周りの仲間に祝ってもらっていたのだが、
今年は両親が日本に帰ってきたらしく呼び出されたのだ。
彼らが日本に滞在することはあまりなく、イタリアにある本部にて
各国に存在するトウギの組織をまとめているらしい。
両親のその壮絶な裏の仕事振りに、燈辻は畏敬の念をすら抱いていた。
そのような両親がわざわざ娘の誕生日に日本へ戻り、呼び出してきたのである。
 
――……まさか、この〈ファミリー〉でお誕生日会を開きましょうなんて
馬鹿な展開は……ねーよな。
 
苦笑し心の中で自分に突っ込みを入れつつ、両親のいる部屋へ足を向ける。
 
「よう、久しぶりだな。俺の子よ」
「元気そうで何よりね」
 
部屋へ入るなり声を掛けてきた両親へ深く頭を下げ、そのまま挨拶を交わす。
 
「お久しぶりです。ボス、お袋」
「ほう……敬語を使えるようになったか。
おい、さっさと座れ。俺たちゃ暇じゃねえんだ。」
 
燈辻が正面のソファに座るのを確認すると、
数時間後に発つ飛行機のチケットを二枚差し出した。
行く先はイタリア、本部のある土地だ。
 
「燈辻、」
 
――……親父に名を呼ばれるのは、いつ振りだろうか。
 
「俺の跡を継ぐ気はあるか。
東偽の家を守り抜く覚悟はあるか」
 
いきなりの真剣な父親の眼差しに、ごくりと息を呑む。
だが答えは、この男に銃を突き付けられたあのときから決めていた。
 
「あります」
「生半可な気持ちだと、死ぬぞ」
「あたしは銀誓館学園の生活で、強さってもんを知りましたから。
他にも大事なもの、たくさん学びましたから」
 
父親から視線をそらさず、力強く続ける。
 
「だから、あたしは死にません。
東偽の家族も何もかも守って戦い続けてやる」
 
しばし沈黙する。どちらも視線を外さない。
傍から見れば睨み合いともとれるこの状況を破ったのは、父親だった。
唇の端を持ち上げて、それでこそ俺の娘だと偉そうに言う。
 
「よし、このチケットはお前たちの分だ。
アンダーボスとして恥のないよう、今日から本部でしごいてやろう。」
「はい、……あ?お前たち?」
 
父親の口から出た複数形に疑問を浮かべたと同時に、
先程燈辻が入ってきた扉が開いた。
 
「誕生日プレゼントだ。すぐにでも右腕となれるよう鍛えておいた。
きっと上手くやれる。
レオン、お前のボスは今この瞬間からこの東偽燈辻だ。存分に尽くせ」
 
レオンと呼ばれたその男は笑みを浮かべ、礼儀正しくお辞儀をした。
燈辻は驚きで目を見開く。
それでも無理やり声を絞り出し、呟くように言う。
 
「てめえ……記憶(ネジ)じゃねーか」
 
この男、白く輝く髪をまとめ、ギザギザとした歯を持ち、
何より目の下に妙な刺青が入っている。
忘れもしない、燈辻を継承者にした男。
そして失った記憶の鍵を握っている人物であった。

「螺子無ーの名は捨ーてた、よ。もう、オレはキミの為だけの駒」
 
こうして燈辻の部下となれた感動を味わうかのように微笑むレオンに
戸惑いを隠せない燈辻を見、父親は珍しく声を上げて笑う。
 
「はは、こいつぁよっぽどお前のことが好きらしくてな。
お前の記憶なくした元凶の癖に愛してるとほざきやがる。
言葉は信用ならねぇが、こいつぁ可愛い土産をくれたもんで
ま、信じる価値があるんじゃねぇかってな。何だ、何より、
 
 
俺の息子で、お前の兄だからな」
 
 
時計の針の音がカチカチと部屋に響く。
父親はふっと顔を時計に向けると、用があるからと言い、
楽しそうに傍観していた母親を連れて部屋から出て行った。
扉の閉まる音が、燈辻を現実に引き戻す。
 
「は、はああああ?!てめっ、親父!待てよ!何だそれ!
おいっ!車止めて戻って来い!元凶って何だ!兄いるなんて聞いてねーよ!
後で詳しく教えてもらうからな!くそっ!」
 
思ってもみない事実に、慌てて廊下へ飛び出した。
玄関から外を見れば、既に車に乗り込んでいた両親を捕まえることは叶わなかった。
思わず、ため息を吐く。
 
「あ、ちゃんーと兄弟愛だーから、ね。安心ーして!ぎゃは」
 
いつの間に追いかけてきていた男が、無邪気に笑いかける。

「あーもう、てめえ気色悪いこと言うんじゃねーよ!
……はあ……ま、いいか」
 
――……考えるのも面倒くせー。
あたしの知らない過去に何があったにしろ、
在学中、こいつがあたしを能力の継承者に選んだことは変わりようのない事実。
必要だった強さを手に入れることができたのは、こいつのおかげもある。
 
 
「……行くぞ、レオン」
「ぎゃはは!そーうこなくっちゃ、ね」
 
 
こうして東偽燈辻は、能力者を辞め一般人となる決意を固めた。
彼女がレオンを従えて、数々の事件を起こすのはまた別の話。





なんとなく考えていたなんとなくストーリーがなんとなく完結しました。

これにて、東偽燈辻の活動を完全に停止しようと思います。
同時にTW2での活動も全停止ということに。

まあ暫くTW系全てやってなかったので既に凍結みたいなものでしたが、
羊をきちんと終わらせることができてよかったです。
よかったです、なんて、言葉では済まされないほどに
ご迷惑をおかけしたこともありました。
今更ですが、深くお詫び申し上げます。
また、それでも優しくして頂きありがとうございました。


東偽燈辻関わって頂いたすべての方に、感謝を。
本当にありがとうございました。
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