忍者ブログ
TW2シルバーレインが為ブログ。 東西南北螺子のこと。


×

[PR]上記の広告は3ヶ月以上新規記事投稿のないブログに表示されています。新しい記事を書く事で広告が消えます。


雨が降った。

足を止めて、傘越しに空を見上げた。空全体を雲が覆っていて、眩しいくらいに輝いていた月が今は見えない。誰かが月の光は太陽の光だと言っていた。太陽の光が月に反射してあたしたちの目に届くそうだ。暖かい光を受けた月もきっと暖かいのだろうと、なんだか胸が苦しくなってため息を吐いた。

――羨ましい。

心の中で呟いてすぐに、つまらないことを考えたと自虐的に笑う。だって、あたしに太陽の光なんて似合わないだろう?あたしは夜に生きてるんだから。
そのとき、あたしの耳に嫌な音が響いた。それは発砲音。本物のそれでは無いだろうが、雨の音に混じって微かに聞こえる。あたしはゆっくりと歩き出した。自然と歩みは早くなり、いつの間にか走っていた。その音のするほうへ行かなければならない気がした。


「う、わ」
発砲音はあたしが歩いていた近くの公園からしていたようだった。目の前には一人の少年―あたしよりは年上だろう―がしゃがみこみ自分の体を抱きしめながら震えていた。

それを数人の男たちが囲んでいる。男たちは見るからに不良というやつで、手には何かを持ちそいつへ向けている。思わず、顔を歪めた。あれはエアガンだ。近距離で撃たれては痛いどころの話では無い。撃たれたそいつは血を流している。そうなると、エアガンは改造されているのかもしれない。撃たれた以外にも殴られ蹴られ、散々やられたようだ。
どうしてこうも酷くできるのだろう。

今までさしていた傘を静かにたたむ。そいつを助けるにしても、相手は不良でこっちはガキがたった一人。いくら普段鍛えられているからといって、正面から叩くには力の差がありすぎる。

――んなこと言っている場合じゃねぇか。

少しだけ考えて、動く。



「許せ」



男が1人倒れた。それはあたしが急所を蹴り上げ気絶させたのだが、その男は気付かなかったことだろう。雨があたしの足音を消したからだ。
周りの男たちは一瞬呆然としたが、次の瞬間にはあたしに飛び掛ってきた。数本もの伸びてくる手をかわす。しかし、全てかわせるわけもなく手首を掴まれてしまった。気持ち悪い笑みを浮かべた男があたしを見る。苛立ち、その男のみぞおちを傘で突き、逆にそれの手首を掴み捻り上げる。仕上げに首の付け根へ打撃を与えれば、男は泥の中へ落ちていった。





立っているのはあたしと、不良が一人だけになった。

「お前、なんなんだよ!いきなり出てきやがって!何してくれてんだよ!」

うるさい男だ。そいつはさっき倒した不良たちのリーダーなのだろう。あたしに手を出さないで高みの見物ってやつを気取っていたのか知らないが、気に食わない。しかしまあ、弱い犬ほどよく吠えるってこういうことを言うのかと考えてから、顔をしかめた。

「おい、お前聞いて――」
「ぎゃあぎゃあうるせぇから嫌でも聞こえるっつーの。あー…あたし、てめぇみたいなガキしか相手にできねぇ貧弱野郎とか嫌いなんだわ。だから、そろそろその口閉じてくれねぇかな。なんなら、あたしが黙らせてやるからさ」

そいつの為に最高の悪意をもって笑顔を作る。

「安心して、寝とけ」







――あっけねぇの。

男たちの呻く声を聞きながら怪我をしたあいつを見てみれば、震えが止まっている。血が雨で流されて、辺り一面が赤く染まっていた。やばそうだと思い、そいつに近づき顔を覗き込んだ。すると、背後から声が聞こえた。振り返ると雨に濡れ息を切らした少年―これもまたあたしより年上だろう―が息を切らして立っていた。

「何だ?てめぇこいつの仲間か?」

あたしが聞いてもそいつは答えない。あたしの質問には答えず、何かを呟いてエアガンを拾い上げた。それは不良たちが使っていたもので、なぜか銃口はあたしに向けられていた。どんな勘違いをしたのかと呆れてしまう。

「はぁ?てめぇ馬鹿じゃねぇの?」
「お前が…お前がやったんだろ…っ!?」
「だから何でそうなるんだよ…この状況よく見てみろ。あたしはてめぇの仲間がボコられてんのを助けてやったんだろうが」

そう言うと、そいつはやっと周りに目をやった。

「んな事より、こいつやべぇみたいなんだが」

はっと我に返ったそいつは仲間に駆け寄りひたすら名前を呼んでいる。その顔は凄く悲しそうで、あたしは柄にも無く、この二人がずっと一緒にいれたらいいのにと思った。





「…うた…今までありがと、な…」


少年が言葉を残して目を閉じた。“うた”はずっと仲間の名前を呼び続けた。
あたしは二人に傘をさして、後ろを向いた。


雨は止まなかった。




2008年8月1日作成
三日月うた君をお借りした。
忘れていた記憶の一部。

確か、ネジにブログを貸したときに
燈辻の領域に入ったわけだし記憶少し取り戻しちゃえみたいな
そんなノリだったように思いますハイ。

と、いうわけで燈辻も無事?ネジの存在を
認識したのでブログ一緒にします。笑

PR
この記事にコメントする
Name :
Comment :
 


material by アルフェッカ

忍者ブログ | [PR]
 
カレンダー
03 2026/04 05
S M T W T F S
1 2 3 4
5 6 7 8 9 10 11
12 13 14 15 16 17 18
19 20 21 22 23 24 25
26 27 28 29 30
フリーエリア
最新CM
最新TB
プロフィール
HN:
ヌイ
性別:
非公開
バーコード
ブログ内検索
P R
アクセス解析
アクセス解析