|
TW2シルバーレインが為ブログ。
東西南北螺子のこと。
× [PR]上記の広告は3ヶ月以上新規記事投稿のないブログに表示されています。新しい記事を書く事で広告が消えます。
19回目の誕生日が来た。
燈辻はクリーニングから返ってきたばかりの黒いスーツに袖を通し、 ネクタイに人差し指をかけ歪みを直す。 その表情は硬く、緊張がありありと浮かんでいた。 どうしてこのような表情なのか、それには彼女が実家へ帰ってきていることにある。 毎年、自分の誕生日は適当に周りの仲間に祝ってもらっていたのだが、 今年は両親が日本に帰ってきたらしく呼び出されたのだ。 彼らが日本に滞在することはあまりなく、イタリアにある本部にて 各国に存在するトウギの組織をまとめているらしい。 両親のその壮絶な裏の仕事振りに、燈辻は畏敬の念をすら抱いていた。 そのような両親がわざわざ娘の誕生日に日本へ戻り、呼び出してきたのである。 ――……まさか、この〈ファミリー〉でお誕生日会を開きましょうなんて 馬鹿な展開は……ねーよな。 苦笑し心の中で自分に突っ込みを入れつつ、両親のいる部屋へ足を向ける。 「よう、久しぶりだな。俺の子よ」 「元気そうで何よりね」 部屋へ入るなり声を掛けてきた両親へ深く頭を下げ、そのまま挨拶を交わす。 「お久しぶりです。ボス、お袋」 「ほう……敬語を使えるようになったか。 おい、さっさと座れ。俺たちゃ暇じゃねえんだ。」 燈辻が正面のソファに座るのを確認すると、 数時間後に発つ飛行機のチケットを二枚差し出した。 行く先はイタリア、本部のある土地だ。 「燈辻、」 ――……親父に名を呼ばれるのは、いつ振りだろうか。 「俺の跡を継ぐ気はあるか。 東偽の家を守り抜く覚悟はあるか」 いきなりの真剣な父親の眼差しに、ごくりと息を呑む。 だが答えは、この男に銃を突き付けられたあのときから決めていた。 「あります」 「生半可な気持ちだと、死ぬぞ」 「あたしは銀誓館学園の生活で、強さってもんを知りましたから。 他にも大事なもの、たくさん学びましたから」 父親から視線をそらさず、力強く続ける。 「だから、あたしは死にません。 東偽の家族も何もかも守って戦い続けてやる」 しばし沈黙する。どちらも視線を外さない。 傍から見れば睨み合いともとれるこの状況を破ったのは、父親だった。 唇の端を持ち上げて、それでこそ俺の娘だと偉そうに言う。 「よし、このチケットはお前たちの分だ。 アンダーボスとして恥のないよう、今日から本部でしごいてやろう。」 「はい、……あ?お前たち?」 父親の口から出た複数形に疑問を浮かべたと同時に、 先程燈辻が入ってきた扉が開いた。 「誕生日プレゼントだ。すぐにでも右腕となれるよう鍛えておいた。 きっと上手くやれる。 レオン、お前のボスは今この瞬間からこの東偽燈辻だ。存分に尽くせ」 レオンと呼ばれたその男は笑みを浮かべ、礼儀正しくお辞儀をした。 燈辻は驚きで目を見開く。 それでも無理やり声を絞り出し、呟くように言う。 「てめえ……記憶(ネジ)じゃねーか」 この男、白く輝く髪をまとめ、ギザギザとした歯を持ち、 何より目の下に妙な刺青が入っている。 忘れもしない、燈辻を継承者にした男。 そして失った記憶の鍵を握っている人物であった。 「螺子無ーの名は捨ーてた、よ。もう、オレはキミの為だけの駒」 こうして燈辻の部下となれた感動を味わうかのように微笑むレオンに 戸惑いを隠せない燈辻を見、父親は珍しく声を上げて笑う。 「はは、こいつぁよっぽどお前のことが好きらしくてな。 お前の記憶なくした元凶の癖に愛してるとほざきやがる。 言葉は信用ならねぇが、こいつぁ可愛い土産をくれたもんで ま、信じる価値があるんじゃねぇかってな。何だ、何より、 俺の息子で、お前の兄だからな」 時計の針の音がカチカチと部屋に響く。 父親はふっと顔を時計に向けると、用があるからと言い、 楽しそうに傍観していた母親を連れて部屋から出て行った。 扉の閉まる音が、燈辻を現実に引き戻す。 「は、はああああ?!てめっ、親父!待てよ!何だそれ! おいっ!車止めて戻って来い!元凶って何だ!兄いるなんて聞いてねーよ! 後で詳しく教えてもらうからな!くそっ!」 思ってもみない事実に、慌てて廊下へ飛び出した。 玄関から外を見れば、既に車に乗り込んでいた両親を捕まえることは叶わなかった。 思わず、ため息を吐く。 「あ、ちゃんーと兄弟愛だーから、ね。安心ーして!ぎゃは」 いつの間に追いかけてきていた男が、無邪気に笑いかける。 「あーもう、てめえ気色悪いこと言うんじゃねーよ! ……はあ……ま、いいか」 ――……考えるのも面倒くせー。 あたしの知らない過去に何があったにしろ、 在学中、こいつがあたしを能力の継承者に選んだことは変わりようのない事実。 必要だった強さを手に入れることができたのは、こいつのおかげもある。 「……行くぞ、レオン」 「ぎゃはは!そーうこなくっちゃ、ね」 こうして東偽燈辻は、能力者を辞め一般人となる決意を固めた。 彼女がレオンを従えて、数々の事件を起こすのはまた別の話。 PR 雨が降った。 足を止めて、傘越しに空を見上げた。空全体を雲が覆っていて、眩しいくらいに輝いていた月が今は見えない。誰かが月の光は太陽の光だと言っていた。太陽の光が月に反射してあたしたちの目に届くそうだ。暖かい光を受けた月もきっと暖かいのだろうと、なんだか胸が苦しくなってため息を吐いた。 ――羨ましい。 心の中で呟いてすぐに、つまらないことを考えたと自虐的に笑う。だって、あたしに太陽の光なんて似合わないだろう?あたしは夜に生きてるんだから。 そのとき、あたしの耳に嫌な音が響いた。それは発砲音。本物のそれでは無いだろうが、雨の音に混じって微かに聞こえる。あたしはゆっくりと歩き出した。自然と歩みは早くなり、いつの間にか走っていた。その音のするほうへ行かなければならない気がした。 「う、わ」 発砲音はあたしが歩いていた近くの公園からしていたようだった。目の前には一人の少年―あたしよりは年上だろう―がしゃがみこみ自分の体を抱きしめながら震えていた。 それを数人の男たちが囲んでいる。男たちは見るからに不良というやつで、手には何かを持ちそいつへ向けている。思わず、顔を歪めた。あれはエアガンだ。近距離で撃たれては痛いどころの話では無い。撃たれたそいつは血を流している。そうなると、エアガンは改造されているのかもしれない。撃たれた以外にも殴られ蹴られ、散々やられたようだ。 どうしてこうも酷くできるのだろう。 今までさしていた傘を静かにたたむ。そいつを助けるにしても、相手は不良でこっちはガキがたった一人。いくら普段鍛えられているからといって、正面から叩くには力の差がありすぎる。 ――んなこと言っている場合じゃねぇか。 少しだけ考えて、動く。 「許せ」 男が1人倒れた。それはあたしが急所を蹴り上げ気絶させたのだが、その男は気付かなかったことだろう。雨があたしの足音を消したからだ。 周りの男たちは一瞬呆然としたが、次の瞬間にはあたしに飛び掛ってきた。数本もの伸びてくる手をかわす。しかし、全てかわせるわけもなく手首を掴まれてしまった。気持ち悪い笑みを浮かべた男があたしを見る。苛立ち、その男のみぞおちを傘で突き、逆にそれの手首を掴み捻り上げる。仕上げに首の付け根へ打撃を与えれば、男は泥の中へ落ちていった。 立っているのはあたしと、不良が一人だけになった。 「お前、なんなんだよ!いきなり出てきやがって!何してくれてんだよ!」 うるさい男だ。そいつはさっき倒した不良たちのリーダーなのだろう。あたしに手を出さないで高みの見物ってやつを気取っていたのか知らないが、気に食わない。しかしまあ、弱い犬ほどよく吠えるってこういうことを言うのかと考えてから、顔をしかめた。 「おい、お前聞いて――」 「ぎゃあぎゃあうるせぇから嫌でも聞こえるっつーの。あー…あたし、てめぇみたいなガキしか相手にできねぇ貧弱野郎とか嫌いなんだわ。だから、そろそろその口閉じてくれねぇかな。なんなら、あたしが黙らせてやるからさ」 そいつの為に最高の悪意をもって笑顔を作る。 「安心して、寝とけ」 ――あっけねぇの。 男たちの呻く声を聞きながら怪我をしたあいつを見てみれば、震えが止まっている。血が雨で流されて、辺り一面が赤く染まっていた。やばそうだと思い、そいつに近づき顔を覗き込んだ。すると、背後から声が聞こえた。振り返ると雨に濡れ息を切らした少年―これもまたあたしより年上だろう―が息を切らして立っていた。 「何だ?てめぇこいつの仲間か?」 あたしが聞いてもそいつは答えない。あたしの質問には答えず、何かを呟いてエアガンを拾い上げた。それは不良たちが使っていたもので、なぜか銃口はあたしに向けられていた。どんな勘違いをしたのかと呆れてしまう。 「はぁ?てめぇ馬鹿じゃねぇの?」 「お前が…お前がやったんだろ…っ!?」 「だから何でそうなるんだよ…この状況よく見てみろ。あたしはてめぇの仲間がボコられてんのを助けてやったんだろうが」 そう言うと、そいつはやっと周りに目をやった。 「んな事より、こいつやべぇみたいなんだが」 はっと我に返ったそいつは仲間に駆け寄りひたすら名前を呼んでいる。その顔は凄く悲しそうで、あたしは柄にも無く、この二人がずっと一緒にいれたらいいのにと思った。 「…うた…今までありがと、な…」 少年が言葉を残して目を閉じた。“うた”はずっと仲間の名前を呼び続けた。 あたしは二人に傘をさして、後ろを向いた。 雨は止まなかった。 それは突然のことだった。
燈辻が廊下を歩いていると、横から飛び出してきた人にぶつかった。
パッと顔を上げて見てみれば目の下に変な模様の入った男。
変なところは模様だけではないようで、間延びした特長のある喋り方をし
「あーれ?こんーなところで、会う予定ーじゃ」などとブツブツ言っている。
だが、燈辻は誰とも会う約束はしていないし、そもそもこの男の記憶は無い。
「なあ、あたしと知り合い……だっけ?」
聞いて、燈辻は妙に自分の胸が騒いでいることに気が付いた。
「知り合ーい、か……うーん。そうとも言ーうかな!」
燈辻は曖昧な答えをさらに問いただそうとした。
だが、相手は「ぎゃは」と笑ってこっちの話を全く聞く気がないと見える。
この手のタイプはどうも扱いづらい。
燈辻は諦めてその場を立ち去ろうとした。
「待ーって!」
男に呼び止められ、眉間に皺を寄せた顔で振り返る。
「オレーの継承者になーらない?」
「は?」
燈辻の脳はこの展開に付いて来れていないようである。
「え、マジであたしと何か知り合い?それともふざけてんのか?」
どう考えてもおかしいと燈辻はグルグルと考える。
どうしてこの男はそんなことを言うのか。
本当に知り合いなのか、むしろ凄く仲が良かったのかも知れない。
自分の記憶が無くなる前に友達だったのか。
いや、それじゃ向こうがこっちに気がつけないのではないか。
足りない脳をフル回転して考えれば、相手が冗談を言っているとしか思えない。
馬鹿にされているのだろうか、この目の前の知らない男に。
まさか燈辻がそのようにパニックに陥っているとも知らず、
男は一歩一歩近づいて、それはもう満面の笑みで言った。
「まーじ、よ!お嬢ーさん」
それから、燈辻は何故か逆らえずその男の継承者となることを承諾した。
そのとき相手は"螺子無カメレオン"と名乗った。
あ。
螺子。
そうか、記憶の螺子。
去年のクリスマスに親父が言ってた、なぞなぞみたいな言葉。
"いつかお前の元に螺子が戻るだろう”
あれはあたしの、
あたしの無くなった記憶(ネジ)だ。
まだアイツは謎だらけだ。継承が終わったらどこかへ行っちまうし何も聞けなかった。
だが親父は言っていた。アイツが"戻る”と。だから、アイツには図らずとも再び会うのだろう。
焦る必要は無い。
さあ、いつものようにゴーストでも倒しに行こうか。
ああ、sheepdogが鳴いている。 2009年12月25日
2年前、オレは義妹を追いかけて、ここに来た。
まだ向こうはオレを知らなくて、でもいきなり会っちゃうと
刺激が強すぎて愛しい妹がどうなるか分からないからって会えなかった。
その間にオレは壊れた教室を見つけた。
そこにオレの新しい居場所ができた。
仲間が集まってきて、ゆったりだらだら過ごして。
正直、いつも何かを食べてたように思う。
そうやって過ごしてる間に、オレの身内が義妹の家が抗争しようとしていた。
それは1年前のクリスマスだ。
向こうの手を煩わせるわけにはいかない。
オレはオレの過去を壊してきた。
そのとき、東偽のボスに会うことになる。
あっちの雰囲気に飲まれて凄く緊張したのを覚えている。
ボスはオレを認めたようで、家族へ入れてもらえることになった。
そこで将来は義妹の下に付けるよう頼み込んだ。
案外あっさり許可が出て拍子抜けしたものだ。
そんで、オレは卒業の季節。
仕方ない。馬鹿弟にパーティの長を任せた。
相変わらずネバネバというかなんというか、まあ……いいか。
あ、そうだ。
さっきパーティを開いていた教室に行ってきた。
今ではもう、誰がやったのか綺麗になってて
それじゃあオレの場所じゃない。
オレたちが食べ散らかしたり、てるてる坊主を大量に貼り付けた面影はなく。
ちょうどいい、未練がましく思わなくて済む。
……やっぱり皆と会えなくなるのは寂しいけど。
今日はついにボスからの呼び出しがあった。
1年間勉強したオレを本家直々に鍛えてくれるそうだ。
だから、行こう。
いつか義妹がオレを認めてくれるように
オレは準備を整えておかないと。
そう。
だから、オレはここを出る。
行ってくるよ。
「みーんな、愛して、る!」 |
カレンダー
フリーエリア
最新CM
最新記事
最新TB
プロフィール
HN:
ヌイ
性別:
非公開
ブログ内検索
P R
アクセス解析
アクセス解析
|